オランダへの移住を決めたら、出発前の準備が成功のカギを握ります。20年以上オランダで生活している経験から、日本で準備しておくべきことと、現地到着後すぐに必要となる手続きをまとめました。このチェックリストを参考に、スムーズな移住生活のスタートを切りましょう。
入念な準備が成功する移住の第一歩
1 パスポートの有効期限と残存ページの確認
パスポートの有効期限が入国予定日から最低6ヶ月以上あることを確認してください。また、ビザのスタンプ用に空白ページが2ページ以上必要です。
チェックポイント:
- 有効期限が1年未満の場合は更新を検討
- 増補申請で空白ページを追加することも可能
- 家族全員分のパスポートを確認
2 戸籍謄本・住民票の取得とアポスティーユ認証
オランダでの各種手続きに必要な公的書類を準備します。特に戸籍謄本は外務省のアポスティーユ認証を受ける必要があります。
必要書類:
- 戸籍謄本(全部事項証明書)3通
- 住民票の写し 2通
- 印鑑証明書(必要に応じて)
- 外務省でアポスティーユ認証を取得
3 運転免許証の更新と国際運転免許証の取得
日本の運転免許証は更新しておき、国際運転免許証も取得しましょう。オランダ到着後、日本の免許証をオランダの免許証に切り替えることができます。
手続き:
- 有効期限が近い場合は事前更新
- 国際運転免許証を警察署や運転免許センターで取得
- オランダ到着後185日以内に切り替え申請が必要
4 健康診断と医療記録の準備
渡航前に健康診断を受け、既往症がある場合は英文の診断書を準備しておきましょう。常用薬がある場合は、英文の処方箋も必要です。
準備事項:
- 健康診断を受けて記録を保管
- 歯科治療は日本で済ませる(オランダは高額)
- 予防接種記録の英訳
- 常用薬3ヶ月分と英文処方箋
5 銀行口座とクレジットカードの準備
オランダで銀行口座を開設するまでの間、日本の口座から海外でも使えるカードが必要です。また、初期費用の送金準備も重要です。
金融準備:
- 海外ATM対応のデビットカード取得
- クレジットカード(VISA/Master)複数枚
- オンラインバンキングの設定
- 初期費用(3-6ヶ月分の生活費)の準備
6 住民票の転出届と税務手続き
出国前に市区町村役場で転出届を提出し、税務署での手続きも忘れずに行いましょう。納税管理人の選定が必要な場合もあります。
手続き内容:
- 転出届(出国14日前から可能)
- 国民健康保険・国民年金の手続き
- 納税管理人の選定(必要な場合)
- 確定申告の準備
7 携帯電話とインターネット環境の準備
日本の電話番号を維持するか解約するか決め、オランダでの通信手段を確保しましょう。SIMフリー端末の準備も重要です。
通信準備:
- SIMフリースマートフォンの準備
- 日本の番号維持(最安プラン or 解約)
- 到着用のプリペイドSIMカード購入
- 重要な連絡先のバックアップ
8 お子様の学校関連書類の準備
お子様がいる場合、現在の学校から必要な書類を取得し、英訳を準備します。予防接種記録も重要です。
教育関連:
- 成績証明書・在学証明書の英訳
- 予防接種記録(母子手帳)の英訳
- 習い事の記録(必要に応じて)
- 日本の教科書(海外子女教育振興財団から入手可)
9 引っ越し荷物の選別と発送
オランダへ持っていく荷物を厳選し、船便・航空便・手荷物に分けて準備します。電化製品は電圧に注意が必要です。
荷物の準備:
- 船便(2-3ヶ月):すぐに使わないもの
- 航空便(1-2週間):早めに必要なもの
- 手荷物:貴重品と当面の生活必需品
- 変圧器・変換プラグの準備(230V、Cタイプ)
10 現地の生活情報収集とネットワーク作り
オランダの生活情報を収集し、日本人コミュニティとつながりを作っておくと、到着後の生活がスムーズになります。
情報収集:
- 在蘭日本人会のFacebookグループ参加
- 住む予定の地域情報を調査
- スーパー、病院、学校の場所を確認
- 公共交通機関の利用方法を予習
到着後すぐに必要な手続き
到着から1週間以内
- 市役所で住民登録(BSN番号取得)
- 銀行口座の開設
- 健康保険の加入
- 携帯電話の契約
到着から1ヶ月以内
- 家庭医(Huisarts)の登録
- 子どもの学校手続き
- 運転免許証の切り替え申請
- DigiDの申請(行政サービス用ID)

アドバイザーからのメッセージ
「準備は大変に感じるかもしれませんが、一つずつ確実に進めていけば大丈夫です。特に公的書類は余裕を持って準備しましょう。わからないことがあれば、お気軽にご相談ください。20年の経験から、きっとお役に立てるアドバイスができると思います。」
- 面谷まりこ(教育・生活アドバイザー)