皆さま、こんにちは。YourLegalsジャパンデスクの西尾です。先日行われたアムステルダムのお寿司屋さん視察の内容を少しレポートしていきます。
YourLegalsジャパンデスクでは、日本人のレストランオープンやシェフの移住などをサポートしています。今回、なかなか予約の取れない人気の寿司屋「ケン寿司」の視察を行いました。参考となることが多いのでブログに書いています。
アムステルダム寿司屋視察
我々が唯一予約できたのは日曜夜の21時からでした。数ヶ月先でも予約が取りにくい人気のお寿司屋さんで、オープンして10ヶ月の新しいお店になります。16時、18時30分、21時の3つの予約時間帯が設けられていて、座席は合計12席しかありません。食事の後(もしくは混雑時の食事前)はバーでお酒など飲めるようなスペースも設けられています。従業員はメインの寿司職人「ケンさん」と、隣で働く「トミーさん」、接客担当の男性の3名で展開しています(ケンさんは日本人ではありません)。内装は日本のお寿司屋さんには見られない、ネオンの光を使ったユニークな印象を受けました。決して「伝統的な日本の寿司屋を再現」というビジネススタイルではないことがすぐに分かります。
お客さんがバーカウンターに座り、おまかせメニューや飲み物を選択します(10貫:25EUR、20貫:45EUR、25貫:55EUR、30貫:75EUR)。飲み物は日本のビールや日本酒などいくつかありますが、今回は12人の客全員が白ワインを注文していました。寿司ネタ自体は日本に比べ、特別なものとは言い難いかもしれません。出てきた寿司ネタはサーモン、イカ、タコ、スズキ、マグロ、ホタテ、ホッキ貝、鰻など日本では馴染み深いもので、ホタテや鰻など日本産、スズキはオランダ産などのようです。例えばホタテは生と炙りの2種類、サーモンは生、炙り、燻製の3種類、マグロも赤身、大トロなどが提供されていて、一つのネタで見せ方を変えているように思いました。中にはユニークな「サーモンロリポップ(炙りサーモンを串に刺し、そこに蒲焼のタレを塗ったもの)」や手巻き寿司なども提供されました。
このお店を日本人の皆様がどう評価するかは分かりませんが、少なくともお店は大盛況です。おしゃれな格好をした比較的収入のありそうな人々が来店し、皆、お寿司の説明を聞きながら頷くようにお寿司を食べていました。実際、味もとても美味しかったです。新鮮なお魚と固すぎないシャリ(オランダのスーパーのお寿司はシャリが硬い印象)、拘った佐渡島産の醤油と、ハイエンド過ぎない値段設定、それからオーナーのケンさんのパフォーマンス。私個人的にもシャリの甘さと程よい握り加減が好みでした。お任せコースが始まるとこんなお話から始まります。
「皆さん、お寿司を召し上がりに来て頂いてますが、まずは特製のお味噌汁を召し上がりください。お味噌汁は消化に良いのでお寿司の前に飲むことが大切ですよ。それから、お寿司のシャリ(つまり、ビネガーライス)は37度という温度設定が非常に重要です。この温度に保つことが美味しさの秘訣です。」
ケン寿司のオーナー、ケンさんの気さくで知識溢れるお寿司のお話は人々の興味を引きます。様々な質問やジョークも店内を飛び交い、最後は拍手で締め括られました。ケンさんのお話を少しだけここに記載しておきます。
「これはイカと言い、英語ではスクイッドと言います。ほら、皆さんの好きなイカリングフライはどうですか?少し硬さがあって、歯ごたえのある印象かと思います。でも生のイカはクリーミーで、新鮮なものは柔らかい歯ごたえです。」
「サーモンは通常、日本のハイエンドでお任せを注文した際には提供されません。でもケン寿司ではもちろん提供しています。なぜならこのお店にくるほとんどのお客様が、好んでサーモンを召し上がるからです。」
「ホタテには、日本で取れる柚子を絞ると良いのですが、オランダに輸入すると物凄く高額なので、柚子のエキスを垂らすこととします。」
「このお店ではスーパーで見る練りワサビは使っていません。あの練りワサビには、ほんの少ししか本物のワサビが入っていないんですよ。このお店では刻みワサビを使っているので、ワサビのフレッシュな辛さや風味を実感頂けます。」
とてもユニークな解説だと思いませんか?イカの解説には「イカリング」を例に出したり、柚子はエキスで代用しますと堂々と説明する。カジュアルで楽しい説明によりお客さんが引き込まれていく様子が分かります。
最後の一つ
最後の1貫は各自の好きなネタ伝え、それに答えて握ってくれます。我々と同じタイミングで最後の1つとなった8人中、私と同僚はサーモン炙りを選択し、オランダ人カップルはサーモンの海苔巻き、隣のオランダ人達はイカとタコを選びました。大トロやホタテ、鰻など選んでいる人はいませんでした。
ケンさんへの拍手と共にお任せサービスは終了となり、彼への様々な質問が飛び交いました。お任せコースが終了しても皆イスに座り続け、ケンさんの話を聞いています。
・どうやってお寿司を勉強したのですか?
かつて、ホテルオークラアムステルダムの実施する寿司ワークショップに参加したことをきっかけに、お寿司への興味が芽生え、18年間のトライ&エラーを繰り返し2019年、念願のお店をオープンさせました。
・日本では修行していたのですか?
日本には行ったことはありません。全て自分自身で学びました。友人に試食してもらうことが多かったです。
オランダのお寿司屋
オランダのお寿司屋さんはおおよそ以下の3つが挙げられるかと思います。
①スーパーマーケットのお寿司コーナー
②食べ放題のアジア料理屋に組み込まれたお寿司
③ハイエンドのお寿司(ホテルオークラ・アムステルダムなど)
ケン寿司の値段設定は②と③の間くらいです。ただ、このケンさんの知識溢れるパフォーマンスやユニークな店のこだわりを考えると、ハイエンドな寿司をあえてカジュアル風にした雰囲気とも言えるでしょう。「日本に行ったら、より高価で固い雰囲気のお寿司屋さんがたくさんあります。でも僕たちは、そういった固い雰囲気のお店よりも、カジュアルで気軽に話ができるようなお店を好んでいます。」と実際ケンさんも述べていました。
アジア料理シェフやレストランオープン
日本の調理学校を卒業し2年ほどの実務経験があれば、オランダでアジア料理のシェフとして比較的容易に移住が可能です。YourLegalsジャパンデスクでは率先してシェフの移住を応援しています。仕事も一般的なアジア料理から上記のようなハイエンドの寿司屋まで希望になるべくマッチしたお店を探すことが可能ですので気軽にお問い合わせ頂けたら幸いです。お寿司のみならず、オランダにレストランオープンをしたい方もどうぞご連絡ください。マーケットリサーチを含めて、開業のサポートをさせて頂きます。
オランダ移住や開業の相談は、YourLegalsジャパンデスクにお任せください。